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Hitachi

高効率・小型e-Axle技術

高回転化によるモータの小型化

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回転子形状を考案

車体空間の確保、配置自由度の増加のためe-Axleシステムを構成するモータ、インバータ、ギアの各コンポーネントの小型化が必要となる。モータ出力はトルクと回転速度の積であり、トルクと体格はほぼ比例する。よって、同出力で設計する場合、高回転化により設計トルクを下げ、モータを小型化することができる。一方で、車軸トルクを確保するためには高回転化に対応したギア比の増加が必要となり、ギアの体格が大きくなる。e-Axle全体の小型化の観点では最高回転速度を2万r/min〜2万5,000 r/minとすることが望ましく、最高回転速度2万2,000 r/minを実現する小型・高回転モータを開発した。

回転速度の2乗で増加する遠心力に対する強度や増大する振動・騒音の対策が高回転化の課題となるため、これらの課題を解決する回転子形状を考案した(右図参照)。

高速回転に対応した回転子形状を採用したモータを開発

一つ目の特徴として、磁石を格納する磁石スロットの内周側端部を延長した。これにより曲率半径を大径化することが可能となり、応力集中を防ぎ回転子コア強度を向上できる。
二つ目の特徴として、磁石スロットの外周側端部を磁極中心側に延長した。加えて、回転子外周側に溝を設け、溝の形状をN極側磁極とS極側磁極とで非対称とした。これにより、振動・騒音に関連する回転子-固定子間の磁束密度の高調波成分を低減することができる。

続いて、考案した回転子を用いたモータの電気特性を算出した。その結果、開発目標の最大トルク155 Nm、最大出力120 kWを達成した。加えて、全動作領域において振動・騒音の指標の一つであるトルクリプルが4.5 Nm以下となった。また、強度解析により、過回転速度条件(2万2,000 r/min×1.2)において最大主応力が材料の降伏応力以下となった。

さらに、回転子強度特性を実測するため過回転試験(スピンテスト)を実施した(下図参照)。

スピンテストの結果から、過回転速度条件を超える回転速度においても回転子の変形が見られなかった。よって、開発した回転子の強度が確保できていることを検証した。また、モータの電気特性を実測するため負荷試験を実施し、設計値どおりの回転速度-トルク特性が得られることを検証した。

以上から、高速回転に対応した回転子形状を採用したモータを開発し、目標とした電気・強度特性が得られることを実機検証した。

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